2021年10月11日
DM作品の紹介
いよいよ展覧会も明後日に迫ってまいりました。
今回はDM掲載作品を紹介したいと思います。
タイトルは「思う日」
もう一つ20号変形サイズでほぼ同構図の作品も出品しますが、その連作として制作しました。
先日の投稿にも記載した通り、着想は香川県高瀬の風景です。私の義母の故郷であるこの地を2度ほど訪れたことがあります。とても広く暖かい景色が今も忘れられず、これまでテーマとしていた遠景の作品に踏み込む一歩として描きました。その際の当時のスケッチも元にはありますが、足らない部分は私自身が毎年6月頃訪れる京都広沢の池の周辺でのスケッチで補いました。
これより少しずつ形にしていきました過程をご紹介します。
少しでも身近に感じて頂けましたら幸いです。
ここまではパネル6号Pパネルに張りこんで描いていましたが、もう少し広がりが欲しくなり、張り替えました。
私は意外と水分を多めに含んだ絵具で描いています。その染みも利用することがあります。
丁度同じ時期に他の作品も進めていました。並べながら考えることもありました。また古典などの作品からもヒントを得られるように図録をめくったりしていました。
スケッチを確認しながら、描き進めていきます。手前の道のラインも色々模索しながら決めていきました。
ほぼ完成の状態です。雲母という光る絵具なども空など色々なところに使いました。
【27段 過ぎにしかた恋しきもの】
過ぎにしかた恋しきもの
枯れたる葵(あおい)。雛遊びの調度。二藍(ふたあい)、葡萄染(えびぞめ)などのさいでの、押しへされて、草子(そうし)の中などにありける、見つけたる。また、をりからあはれなりし人の文、雨など降りつれづれなる日、さがし出でたる。去年(こぞ)のかはほり。
(現代語訳)
過ぎさったころのことが恋しく思い出されるもの
祭りに使っていた枯れた葵。雛遊びの時に使った道具類。二藍や葡萄染めなどの切れ地が、押しつぶされて、本の中に挟まっているのを見つけた時。また、ふとした時に、かつて好きだと思っていた人の手紙を、雨などが降っていて手持ち無沙汰な日に、たまたま探し出した時。去年使っていた夏扇。