2020年7月4日

扇子ができるまで(制作工程の紹介)

7月14日から始まります、「日本画家による扇子展」。このご時世ですので、実際足を運んで頂くのも難しいと思います。お出かけできなくても展覧会や作品を少しでも親しみ楽しんでいただけるよう、制作工程の一部をご紹介させていただこうと思いました。

作家により様々な制作方法、工程がありますので、皆それぞれだとは思うのですが、私の場合はこのような手順で制作に取り組みました。まず、モチーフをスケッチしたり、構想を練り構図を考えます。その上で扇子の型を参考に(折り、断ち切りが書かれているもの)位置を考え、書き込んだりしていきます。

下絵

次にトレース紙を上において、主となる線を拾っていきます。これを扇面の紙に写していきます。

トレース作業

トレースした線を骨書き(墨で線を描くこと)していきます。

扇子の紙に骨書き済みの状態

下塗から始めていきます。バックの色は下絵の時から決めていたので、全体に色を置いていきます。少し専門的な話にはなりますが、通常の日本画で使用する膠より濃い濃度で使います。扇面として仕立てて頂く工程があるので、定着力や使う絵具の粒子(岩絵具よりも水干絵具を中心に使いました)にも気を配り制作を進めます。

下塗り
作業途中

完成です。仕立ては 宮脇賣扇庵 様にお願いしました。扇子の骨も選ばせて頂くことができ、黒猫に合わせて黒色を選びました。

完成(平地で仕立てに出します)

この後、いよいよ折の作業を経て扇子が仕立て上がります。さて、どんな風になるか?またご紹介させて頂きます。(本作品はギャラリーウェブサイト及びDMに掲載して頂いている作品です)