2021年6月18日
制作工程の紹介 1
6月、梅雨の時期、今年は特に不安定な気候が続いています。緊急事態宣言は沖縄県を除き解除される方針が発表されましたが、まだまだ気軽に展示を見たり、また近くにそういった機会が無い方も多くおられることと思います。
本年私のwebsiteをリニューアルさせて頂いたことの一つとして「日本画について知りたいと思っておられる方へ向け制作工程の紹介をサイト内で充実させたい」という目的があります。
そこで今回は制作の工程の一部を紹介したいと思います。
よく展覧会で作品を観て頂いた際に「どうやって描き進められるのですか?」「どれくらいの時間がかかるのですか?」とお尋ね頂くことが多々あります。なかなか一言でお応えしにくく、幾つかの作品を並行して描いているので1点あたりの時間軸でお答えするのは難しいです。
それも作家により様々であると思いますので、あくまでも「私自身の場合」という形で参考までにご紹介できればと思いました。
例えば時間については、オンラインワークショップで提示させて頂いたものだと数時間で完成まで持っていけるように作成しております。
勿論日本画の素材の特徴上ある程度手順はありますが、どこから始めるか、どこまでやってみるかによっても違うと考えています。その視点からですと「必ずこの工程があり、これだけ時間がかかる」とは言い難いかと思っています。
本サイト上では初めて素材を触れてみようと思っておられたり、展覧会等で作品を鑑賞したりして興味を持って頂いている方にも身近に感じて頂くことを念頭に置いています。日本画の絵具にしても「とりあえず触れてみる」「こういう手順もあるのか」と知って頂くことも大切ではないだろうか、と考えております。
私自身の場合は幾つか習作を作成したり、イメージから近い現場を探したり、またスケッチをしたり、何度も現場を訪れたりするところから始めます。逆に実際の風景のスケッチからイメージを深める場合もあります。
それに加えそのままを使うことはありませんが、客観的になるために、時には画像処理ソフトで描いている作品のイメージを模索したりすることもあります。描く素材やモチーフ(過去の制作工程で紹介している扇子など)によっても工程は変えています。意図してのことですが、自然と変わってしまうものでもあるのかもしれません。
しかしながら共通して言えることとしては、出来るだけ作品が形になっていく最初の段階のイメージや計画作りを大切にするよう心掛けています。
言葉だけでは伝わりにくいかと思いますので、参考までに制作過程、2つの作品の最初の一部分を紹介します。
平たく言えば、最初のイメージや意図したことは最後まで持ち続けないとゴールが見えなくなってしまうからです。
私自身が昔からよく展覧会などで完成された作品を観るよりも(完成作品は勿論観た上ですが)ジャンルはどんなものであってもアイデアスケッチや下絵などを観ているとその作家の思考の過程を垣間見ることができて、それがとても好きでした。
実際の制作の中では勿論、矛盾すること、試行錯誤もあります。(そんなところが私個人としては制作過程と日々の日常は似ているとも思っています。)
本サイトに於いて私自身の作品ではありますがリアルタイムに様々な角度から制作工程を紹介させて頂くことで、少しでも作品作りを身近に感じて頂けたり、完成作品へ対してもまた別の感覚で鑑賞して頂けるきっかけ作りになればと思っております。
今後も様々に工夫していこうと思っておりますので、少しでも何かを感じて頂けたら幸いです。